子どもの肌は非常にデリケートです。おむつかぶれ。乳児湿疹、アトピー性皮膚炎など何かとトラブルが起こります。予防のためにも、ぬり薬を使ってトラブルが起こらないようにしましょう。ぬり薬にはいろいろな種類があります。ここでは、その特徴や使い方を説明します。
基剤について
ぬり薬は効能がある主剤と主剤の吸収を助ける、基剤と分かれます。ステロイドや、抗ヒスタミン薬、抗生物質が主剤にあたります。基剤はその成分によって、大きく油脂性基剤と乳剤性基剤とに分けられます。油脂性基剤はその名の通り、油が主成分です。乳剤性基剤は水と油を乳化させた状態です。本来水と油は混ざり合いませんが、界面活性剤を使用して混ざり合わせることができます。これを乳化といいます。乳剤性基剤は外側が油成分で内側が水成分であるoil in water(O/W型)とその反対のwater in oil(W/O型)に分けられます。
特徴
基剤の種類によってぬり薬の特徴が変わります。油脂性基剤ではべとっした感じがありますが、水成分が主であるO/W型乳剤性基剤はさらっとした感覚です。それぞれの特徴を表にまとめます。
ぬり薬種類 | 利点 | 欠点 | 代表薬 |
---|---|---|---|
油脂性基剤 | 皮膚刺激が少ない 皮膚保護作用がある |
吸水性が低い べとつきやすい |
ワセリンなど |
O/W型乳剤性基剤 | 水で洗い流せる 皮膚の冷却効果がある 止痒、抗炎効果 |
乳化が壊れやすい | 水溶性クリーム |
W/O型乳剤性基剤 | 皮膚刺激が少ない 油脂性基剤の混和が安定 |
水では洗い流すのが困難 | ヒルドイドソフト軟膏など |
使用量
大人の人差し指の第一関節部まで出した量が手のひら2つ分の広さを目安にします。1 finger tip unitといわれています。
種類
保湿剤
一般名 | 基剤 | 特徴 |
---|---|---|
白色ワセリン | 油脂性 | 皮膚保護作用に優れるがべとつきやすく、吸水性は乏しい |
アズノ-ル軟膏 | 油脂性 | 抗炎症作用、抗アレルギー作用ある。 ワセリンにアズレンなどを混ぜたもの |
亜鉛華軟膏 | 油脂性 | 白色ワセリンと酸化亜鉛など、吸水性に優れる |
亜鉛華単軟膏 | 油脂性 | 酸化亜鉛の抗炎症作用あり、べたつきが少ない |
ヒルドイド | 乳剤性 W/O,O/W |
刺激性が弱く、保湿作用が強力 |
尿素軟膏 | 乳剤性 | 保湿効果が強い、傷があるとしみる |
ザーネ軟膏 ユベラ軟膏 |
乳剤性 O/W |
皮膚の代謝機能亢進し角化を抑える |
ステロイド外用薬
ステロイド強さ | 薬剤名 |
---|---|
ストロンゲストⅠ群 | デルモベート,ジフラール,ダイアコート |
ベリーストロングⅡ群 | ネリゾネ,テクスメテン,マイザー,アンテベート,フルメタ,トプシム,リンデロン-DP,パンデル |
ストロングⅢ群 | メサデルム,ザルックス,ボアラ,エクラー,ベトネベート,リンデロン-V,フルコート |
ミディアムⅣ群 | アルメタ,キンダベート,ロコイド,リドメックスコーワ,アフタゾロン,レダコート,グリメサゾン |
ウィークⅤ群 | プレドニゾロン |
その他
効能 | 薬剤名 | 特徴 |
---|---|---|
免疫抑制外用薬 | プロトピック | 免疫反応をおさえてアトピー性皮膚炎のかゆみや炎症をおさえる |
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤 | コレクチム | 免疫反応を抑えることで、皮膚の炎症をしずめる、アトピー性皮膚炎の薬 |
抗ヒスタミン外用薬 | ベナパスタ,レスタミン軟膏 | かゆみを抑える |
クロタミトン | オイラックス | かゆみを抑える |
ヒドロコルチゾン、混合死菌浮遊液 | エキザルベ | 湿潤,びらん,湿疹,おむつかぶれ |